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乳腺腫瘍との戦い~愛犬の病気(1)

   

愛

自分ではない誰かの経験した話を聞くというのは、実は思った以上に役に立つものです。

病院の方針、病気の進行、飼い主の選択、犬それぞれに違う一生。もしものときにあなたの役に立つかもしれない、そんな愛犬の病気のお話をランサーズで書いていただきました。

これからときどきではありますが、書いてくださるかたが見つかればシリーズとして投稿していこうと思います。

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体験談 vol.1

まずは、私自身の説明をしてから病気に関して書いていこうと思います。
私は犬のトリミング、トレーニングや動物看護士になるために勉強をする専門学校へ通っていました。

そこで学んだ私は、わが家の犬の体を触ることが日課になっていました。ただ、犬と触れ合いたいからだけではなく、体への異変がないかを確認するためです。
専門学校で学んだ、トリミングの技術もわが家の犬で発揮していました。トリミングの目的は、犬を綺麗にすることだけではなく、病気の早期発見をするのにも最適と師範の教えがあったからです。

専門学校を卒業した私は、動物病院へ就職しました。
そこで、専門学校へ通っていた時の経験や教えが役に立ち、獣医さんが見逃すような細かい異変にも気が付くことができていたと思います。

はじめての病気

わが家にやってきてから、全く病気もせずに元気いっぱに走り回っていたテリアの女の子。そんな子が9歳になった頃、私が働いていた動物病院で健康診断を行いました。半年に一度は健康診断を受けていたのですが、ある日エコーの検査で胆のうに胆泥がたまっていることがわかりました。

最初は、胆のうの中に白い浮遊物がある感じでしたが、時間がたつにつれて胆泥が増えていく状態です。

胆泥の原因は脂質なのでダイエットのために、ご飯を脂肪分の少ないものに変更し、適当にあげていたご飯の量を調整することにしました。
体重はどんどん減っていき、丸々していた体系も標準体系になっていきました。

また、走るのが大好きな子なので走らせることは簡単で、9歳には見えないほどの走りを見せてくれました。

そんな努力の甲斐あって、胆泥がなくなったのです。そこから、安心した私達は運動させることを怠り始め、
すぐに胆泥は復活してしまったのです。

それからは、胆泥は増える一方で薬を毎日飲んでいても改善されません。
年を年を取っていくにつれて、気弱になっていくわが子は検査にびくびくしながら毎月のように病院へ通う日々。ただ、本人には症状はなく病気の犬だなんて周りからは全く見えなかったことでしょう。

乳腺腫瘍との戦いのはじまり

そんな元気なわが子に次にやってきた悪魔が、乳腺腫瘍でした。これは、私がトリミングをしている時に発見したものです。

まだ、とても小さいできものでしたが、避妊手術をしていない状態だったので非常に嫌な予感しかしません。1歳になる前に、避妊手術をすることで乳腺腫瘍になる確率が大幅に下がるといわれています。

乳腺腫瘍の良性と悪性の確立は50%となり、猫は90%が悪性と言われています。そんな知識があるため、すぐさま病院へ連れていき、検査です。小さいできものなので、細胞診をするのも容易でないようものでしたが先生は頑張ってくれました。

検査の結果、悪性の腫瘍の確立が高いことがわかり、すぐに手術の予約をして私が立ち合いのもと手術は行われました。元気なわが子の初めての麻酔、とても自分で麻酔の管理ができるような心境ではありません。

麻酔で目が覚めなかったらどうしよう、という恐怖がとにかく強く、見守る事しかきませんでした。

手術後、他の子に比べてスムーズに目覚めて、麻薬のおかげで痛みもない様子。いつも通り、外に出たいアピールをしてくれた時には本当に安心しました。

初めての手術を乗り越えたわが子は、それだけでは済まなかったのです。病変の検査の結果はやはり、悪性。

くりかえす病魔との戦い

悲しいことに、この後数年にわたり乳腺腫瘍が何度もできて計4回も乳腺腫瘍の手術を行うことになったのです。私が毎回小さい状態で発見しているから、他の臓器に転移することなくいられたと思いますが本人には訳も分からずつらい思いをさせていたのではないかと、思う事もありました。

常に元気いっぱいで全く症状もないので、ただ怖いことを繰り返しされていたと思っていたことでしょう。

乳腺腫瘍の手術を4回行った頃には、既に13歳になっていたと思います。
そのころ、私は4年間勤めていた動物病院を退職してOLになり、それに加えて一人暮らしを始めました。
その時から、わが子に触れる機会は少なくなっていたのは明らかです。

年を取ってきて反応は鈍くなって、頑固にもなっていましたが、毎回会うたびに元気な姿を見ていたので注意力が低下していたのかもしれません。

ある日、母に動物病院へ定期健診を受けに犬を連れてってもらいました。そこで、分かったことが胆泥が悪化して胆石になっていたのです。胆のうの中に石があることで、管を詰まらせて破裂危険性があります。

母は、私に相談もせずに胆のう摘出の手術を決めました。胆のうが破裂して、苦しんで亡くなっていく子たちを目の当たりにしてきましたが、それは防ぎたいという気持ちと、長時間の手術を行う事への抵抗もあります。

私がいない病院で、長期間の入院をする高齢のわが子。どうしてこんなにつらい思いをさせてしまう事になってしまったのか、今でも後悔していることは避妊手術をしなかったこと、太らせることで病気になる可能性があることを知らなかったこと。

胆のうの摘出手術を乗り越えたわが子は、いつものように元気に帰ってきましたがまた再び襲ってきたのが乳腺腫瘍です。

本当にしつこく攻撃してくる病気に、私たちはついに諦めることにしました。当時、14歳になっていた高齢の犬にまた麻酔をかけることと、またすぐにできてしまう腫瘍をいつまで取り続けるのかを考えたときに、14歳という年齢を考えてこれ以上の治療は痛みをとることだけにしたのです。

最初は普通でしたが、やがて胸にがん細胞が発見され内臓からどんどん蝕んでいったのです。そこから一気に痛みによる、吐き気、食欲不振、下痢と体調の悪化が積み重なり、あんなに食べることが大好きで元気に走り回っていた子が、ガリガリで骨が浮き出るぐらい痩せていきました。

痛みのせいか、歩くこともままならず、食べたい気持ちはあることから食べようとするが、すぐに吐いてしまう毎日。

母から、その日どれぐらいの量を食べることができたのかLINE報告がくる毎日。今日は苦しそうに泣き叫んでいる。今日は調子が良くて、完食した。吐き気が止まらない。
文章でも、苦しんでいる様子が目に浮かびました。

2015年の12月、ついに苦しみから解放されました。

夜中3時に一声泣き叫び、母親を起こして一気に力が抜けて行ってそうです。私が実家に着いた時には冷たく固くなっていました。散々毎日苦しんで、やっと苦しみから解放された姿に、「お疲れさま」という言葉しかかけることができませんでした。

撫でられるのが好きだった部位を撫でて、ただただ静かに泣きました。

数日後、お寺に火葬しにいきました。人間と同じように、お経を唱えてもらい火葬されるところへ入っていくところを見守り、小さくなって戻ってきました。

今は、小さい箱に入って最後を迎えた部屋で静かにしています。私は帰るたびに、その箱をなでては「ただいま」「またね」を伝えています。

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